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持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書)

持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書)
広井 良典
持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書)
定価: ¥ 819
販売価格: ¥ 819
人気ランキング: 20054位
おすすめ度:
発売日: 2006-07
発売元: 筑摩書房
発送可能時期: 通常4~6日以内に発送

なんというか・・・
この本の基となっているプロジェクトに興味があって、購入して読んでみた。

少し残念だったのは、図表を使って色々と説明している箇所で、「えっそれだけの議論でその答えを出したの?」「この図表から、それだけの意味しか受け取らないで意見を述べているの?」と何度か感じたこと。本にある程度制約があると思うから仕方ないけど、説得力に欠ける。つまり、本を読んだだけだと、著者の意見に素直に賛同できない(特に社会保障論で)。



オルタナティブな社会像の提案―もうひとつの社会モデル

 私自身は…「環境主義(ないしエコロジズム)と結びついた社会民主主義」という理念が、これからの時代においていわば“時代の政治哲学”という位置を担い、日本におけるこの理念と政策の確立こそがもっとも重要な課題になると考えている―本書P.76

 当書を貫く主旋律は、上述の「エコロジズムと結びついた社会民主主義」の思想である。だが、この意想は、政治哲学としての社会民主主義の中に自由主義的な要素を取り入れ、本来の意味での保守主義にも親和性をもつ“新たな社会民主主義”であることが特徴だ。

 従って、具体的には、著者がコンセプトとして主張する「持続可能な福祉社会」を構築するため、「定常(環境)志向&(相対的に)大きな政府」という姿、米欧の対比でみれば「ヨーロッパ型」に重なるような、オルタナティブな社会モデルを私たちに提起する。

 「持続可能な福祉社会」とは、「個人の生活保障や分配の公正が十分実現されつつ、それが環境・資源制約とも両立しながら長期にわたって存続できるような社会」と定義されている。私たちの目指す「美しい国」とは、まさにこうした社会を基盤とすべきであろう。


骨太の知的議論
千葉大学の21世紀COEプログラム「持続可能な福祉社会に向けての公共研究」の研究成果の一部の公刊本ということで、骨太なアカデミックな議論が展開されている。新たな知見を開くとはこのようなことか、と目を開かされる。
見えない社会保障が崩れたという現状分析は今日の共通認識となっているが、そこから描かれる社会像は著者独自のものである。「人生前半の社会保障」というコンセプトの提示から始まって、環境政策と福祉政策の融合、都市型社会におけるコミュニティの再生等の必要性が論理的に説明され、具体的な政策提言が語られる。政策自体に既視観が無いわけではないが、それらを前著から引き続く「定常型社会」というコンセプトの下に縦横自在に展開する著者の知的世界に引き込まれる。
最終章、超時間軸という概念を提示しつつ、生産の充足が文化の進化に発展したという歴史的事実を提示する著者の歴史観に、知識や学問さえも消費の対象となりつつある今日の社会の不健全に改めて思い至った。

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